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+水銀燈の月に浮かぶ姿が好き ____ ____ ,. -‐ ニ ̄  ̄ 、 .`ー┐、__ / ‐  ̄ ヌ、 . .ヾ 、 \ / / / ,/ / , タ、..... ヾタ、 \ / / / / /! / t〉 iス ヽ、 i. 〃.// / / /// / /! / テ 、 I , 水銀燈の月に浮かぶ姿が好き レ ′レ ./_,ノ,ィー‐/―- /,.イ ヾ! i_〕 ∨/ .f弍 ≒ァ-ノ- / _> ノ、 . 蒼い光に洗われて、深い森の奥にこんこんと湧き出る泉の美しさ…… r-― ´ 込ン= ′ // 〔 r‐勹´∧! ヾヽ 〉 / ヽノ / | 、ヾヽ 水銀燈の優しさが好き ヽ、 _,.- " ,.-‐ ´ヽ__,/ | i== - { ` ー=ニ二-―  ̄〉 . ; / l ! 「 . . . ごく限られた人にだけ見せる、心にポっと火が燈るような優しさ…… 〉 . . . . / / , /i| | | . . . . | . . . . .. . ./ / | l l | | . . . . . 水銀燈の強さが好き `ヽ、 . . . . . ./ / .| | i ヽヽ、. . . . . ` ―- 、 .. . . ./ / ,/| | i ヽ_ . . 自分に同情しない、自分を傷つけながら突き進む強さ…… ,|. . . / / メ ヽ! i / レ / |. / ,〃 /宀ヽ. . . i / _ 水銀燈の穢れのない心が好き / /7 ´ /´. . . . . . _〉-―く__ ,. =≠ ./ / / /. . . .,.‐´ ̄. . . . . .. `ヾ.三三く 黒い羽で覆い隠し、ずっと大事に守ってきた無垢な心…… _, - ニ - ´,//. . . .,ィ´ . . . . . . . . . . . . ヽ三三  ̄ -= ´ゝソブ .. . . . . . . . . . . . . .. . ヽ,三 / ん/ . . . . . . . . . . . . . +もう山では雪が降っているそうですよ、銀様。 もう山では雪が降っているそうですよ、銀様。 あと2ヶ月もすると、街にも降りますね。 雪が薄っすらと積もった街は、どうしてあんなに綺麗なんでしょう。 本当の街の姿を見なくても済むから? 本当の街なんて汚いから? そうかもしれない。 でも、私はそうは考えない。 銀様の本当の心が何よりも美しくて純情であるように、 本当の街の姿も綺麗なんです、きっと。 美しくて純情なものって傷つきやすい・・・ だから、雪が積もると本当の姿が隠れて、みんな安心できるんです。 美しくて綺麗なものが壊れることなんて、誰も望まないから。 銀様のいらっしゃる街にも雪、降るといいですね。 △▲△ +折れた翼で天を掴むこと能ず。 折れた翼で天を掴むこと能ず。 暗き森で一人、泣き崩れる銀様。 だけど、失った翼の替わりに足を使ってみて下さい。 歩いてゆくのは、飛んでゆくよりずっと遅い。 山を上り谷を下り、岩を迂回していかなければいけない。 だけど、その一歩から多くのことを学べるはず。 上空からでは気がつかない、小さなことにも気がつくはず。 地上を歩く、多くの人と接することもできるのです。 翼なんてなくてもいいのです。 途中で負けてしまってもいいのです。 ずっと空を飛びつづけているよりも、 それはずっと豊かな人生になるはずだから。 +山椒魚 *━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━* 山椒魚 山椒魚は、小さいときに岩の穴に入って、 そこで大きくなって、出てこられなくなることがあるんだって・・・ 銀様が私の心の中に入ってきたときは、 まだまだ本当に小さくて、すんなり心に入ってきた。 銀様は思っていたより、ずっと素敵な方でした。 知れば知るほど好きになり、銀様が好きで好きでどうしようもなくなった。 銀様は心の中でどんどん大きくなって、 ついに出て行くことが出来なくなったみたい・・・ 銀様と一緒にいられることは嬉しいけれど、 ときどき困ることもあるんです。 だけど、銀様、きっといずれは消えてしまう・・・。 それまでは、銀様と一緒にいよう。。 *━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━*━* +Nのフィールド 『Nのフィールド』 鏡が映すものは現実? いいえ、鏡は光を反射するだけ。 反射されない闇は、鏡の中に吸い込まれる。 鏡の中の世界は、闇が支配している。 Nのフィールド 鏡は闇だけを溜め込んでいるの? いいえ、鏡は姿をもたない心も取り込む。。 余計な光は反射され、本当の心も吸い込まれる。 鏡の世界には、裸の心があるのです。 Nのフィールド ∩且つ / ( ・x・)ι ` く| Y|V レ| || . (_).) +完成は未完成・未完成こそ完成 完成は未完成・未完成こそ完成 むかし、竜の絵を描いた人がいたそうな。 とってもとっても上手に竜の絵を描いたそうな。 でも、なぜか目だけは描かなかったそうな。 その絵描きは、竜を手元において置きたかったそうな。 水銀燈が完成していたら、どこかに飛んでいってしまう。 たとえ飛んでいってしまっても、自分の元に戻ってきてほしい。 そんな想いを込めて、人形師は水銀燈を未完成のままにした。 作られた人形はどういう気持ちになるか、考えが至らなかった? それとも、何か他に思惑があったの? それでも、水銀燈は事実を受け入れた。 自分が未完成であると認めるのは辛かったけれど・・・ おそらく誰も自分なんかとはミーディアムとして契約してくれない。 だったら、力を奪ってしまおう、ホトトギス。 こうして、契約なしで力を得る術を得た。 誰よりも高く飛んで、ほかの完成された姉妹を見返したい。 だったら、翼で天を翔ければいい。 こうして、他の誰も持っていない飛ぶ技を得た。 未完成こそ完成。 水銀燈は、自分で自分を完成させた。 だから、みんなは銀様を愛する、崇拝する。 +秋の空は果てしなく続いてる 秋の空は果てしなく続いてる 銀様はどこまで飛ぶの? 里にも秋がおりてきた 山の上はもう冬です もっと高い山は、もっと寒くなっている 高くいけば、季節もそれにつれて進んでいく じゃあ、山よりもっともっと上には春があるの? 花が咲いて、みんな優しい笑顔で笑っているの? 銀様は翼も休めずに飛び続ける ずっと上にある春を信じてるから? でも、時には休んでくださいな ぼんやりしながら気長に待てば、春は向こうからやってきます そんなに必死になって羽ばたき続けなくても、 春は、冬に耐えたみんなに訪れるのです +冬の夜のバス亭は寒い 冬の夜のバス亭は寒い バスはなかなか来ない ふと、空を見上げると星が見える 冷たい空気で研ぎ澄まされた、シャープになった星星が そこで、詩の予感を覚える 銀様に贈る愛の詩を紡ぎだせる気がする でも、詩は生まれてこない 想いは言葉になれずに、冬の空気に溶けていく 無理に捻り出した言葉は、死んでいる 銀様への想いは形にできない 冬の夜のバス亭は寒い バスは地面を走ってやって来た _ , ´r==ミ、 卯,iリノ)))〉 /`-|l〉l;゚ ー゚ノl ∫ レ´V |(つ|⌒|⌒|つ([_] (`ヽ/~)ノ  ̄ ̄ ̄ し J ̄ ̄ +病窓を 病窓を かえりみすれば メイメイの 色似し雪の いたづらに舞う +ここではいつでもブーツが硬い ここではいつでもブーツが硬い 村の靴職人が革のなめしかたを忘れたからだ ヒマラヤ杉の森は深く 見張り台に立てば夜の海のような暗さがわかる 村には街灯がない 狼が柵の越え方を覚えていて 夕方になれば家々は戸を閉ざしてしまう 飛び方を忘れた猛禽がぐるぐると広場で羽根を打っている 誰もがその声を聞いている 誰もが戸を閉ざしている 靴職人は燭台を倒し木づちと靴の踵を火にかけている 柱時計が時を打つ 誰もがその音を聞いている 我が身を焼く火沫を頬に感じている +閉ざされた鞄がひらく時 閉ざされた鞄がひらく時、 黒い羽が目を覚ます 失われし時が再び動きだし、 青い炎の記憶が心を焼きつくす 古い教会の望まないエンゲージは、 やがて大きな枝となり、 闇の剣でなぎ払った真っ赤なバラを甦らせて、 自らの命を砕き散らす +銀様十二節 銀様十二節 銀様は強い子 銀様は偉い子 銀様はドロンジョ様のよう 銀様は可愛い子 銀様はローゼンの第一ドール 銀様だけはガチ 銀様は超処女 銀様はゴスロリ 銀様は肌が白い 銀様は凄い 銀様は髪が長い 銀様は声がきれい +甘い水の湧き出る森で、水浴びして遊ぶ子供達を眺めていた 甘い水の湧き出る森で、水浴びして遊ぶ子供達を眺めていた 夜は銀色の星を捕らえようと、彼女の前でふざけても見せた 赤街燈に照らされた屋根の上で、僕は時々考え込んでしまう 彼女への想いは日増しに募るが、それを伝える術が無いから 僕に贈られたアンティークドールが、悲しそうに囁き掛ける 蘇える記憶は、どうしてこんなにも傷を負わせたがるのかと 深い愛憎は心を蝕み、いつしか君の身体には穴が空いていた 孤独の闇のようなその穴に、僕はありったけの花を飾り付け 愛の詩を綴ってみよう 美しく純真な貴方に似合う百合の様な +水が砂に吸い込まれても、サハラ砂漠はしらんぷり 水が砂に吸い込まれても、サハラ砂漠はしらんぷり 銀座の街が人を呑みこんで、消化されると泥人形 燈りが照らし出すのはショーウィンドーばかり へのへのもへじ、街のみんなが同じ顔 贈られた綺麗なブローチも、砕けちってただの砂 ルイ・ヴィトンはウサギの道化師となりてあざ笑い 愛という言葉が虚しくひびく のみやで酒に対して謳ったところで、人生幾ばくぞ、憂いは晴れない 詩を吟じてみよう、銀様だけを想いながら +背の羽を 背の羽を 竜の顎(あぎと)に 戦えど いかで愛(かな)しき 紅き妹 +なぜかひとり見捨てられ なぜかひとり見捨てられ あいする父をさがす旅 しんじたものは砕けちり たよれるものは自分のみ どんなに孤独がつらくても 凍った心は崩れない いつか銀様がこころを開きますように… +月みれば(銀様の百人一首』シリーズ) ) ____ ____ ,. -‐ ニ ̄  ̄ 、 .`ー┐、__ / ‐  ̄ ヌ、 . .ヾ 、 \ / / / ,/ / , タ、..... ヾタ、 \ / / / / /! / t〉 iス ヽ、 i. 〃.// / / /// / /! / テ 、 I , レ ′レ ./_,ノ,ィー‐/―- /,.イ ヾ! i_〕 ∨/ .f弍 ≒ァ-ノ- / _> ノ、 . 月みれば r-― ´ 込ン= ′ // 〔 r‐勹´∧! ヾヽ 千々にものこそ 〉 / ヽノ / | 、ヾヽ かなしけれ ヽ、 _,.- " ,.-‐ ´ヽ__,/ | i== - { ` ー=ニ二-―  ̄〉 . ; / l ! 「 . . . わが身ひとつの 〉 . . . . / / , /i| | | . . . . 秋にはあらねど | . . . . .. . ./ / | l l | | . . . . . `ヽ、 . . . . . ./ / .| | i ヽヽ、. . . . . ` ―- 、 .. . . ./ / ,/| | i ヽ_ . . ,|. . . / / メ ヽ! i / レ / |. / ,〃 /宀ヽ. . . i / _ / /7 ´ /´. . . . . . _〉-―く__ ,. =≠ ./ / / /. . . .,.‐´ ̄. . . . . .. `ヾ.三三く _, - ニ - ´,//. . . .,ィ´ . . . . . . . . . . . . ヽ三三  ̄ -= ´ゝソブ .. . . . . . . . . . . . . . (月を見ていると、様々なもの悲しさがやってくる・・・ 秋のせいね、秋は私ひとりにやってくる物ではないとわかっているのだけれど・・・) ↑(を詠んだ人) 大江千里 おおえせんり (生没年不明) 大江おとんど/音人の二男。三十六歌仙の一人。 在原行平・業平の甥に当たる。大江家は元々はじすくね土師宿禰の名前だったが、 途中大枝朝臣の姓を賜り、父 音人の代で大江姓に改めた。 +... (同胞(はらから)と) 同胞(はらから)と 並ぶことなく 窓隔て ともに見入りぬ 犬の探偵 (真紅たちを急襲しにきたのだけれど、姉妹はみんなソファーにかけTVを見ていた。自分も ここに来た理由も忘れ、窓越しではあるがともにクンクンに見入ってしまったのですよorz) 参考:他の人の解釈 (姉妹たちが仲良くくんくんを観ているのに、私は並んで座ることが出来ない。 私たちを隔てているものは窓ガラスだけ、ではないのです・・・) +君がため(銀様の百人一首』シリーズ) ,r==ミヽ _ 〈(((ノリi卯 _ _ _ 私は天使じゃないと …天使? . ´,ヘ ヘヽ 从゚ー ゚,l〈l| / ヽ 言ってるでしょ . __, !〈 ((゙ "))〉 とi卯(i ヽ!|ゝ "ー"`` |__ il!!|.゚ ヮ゚ノ!|. /l xヽy ||\.__ ,ノl(つ^と)l_ \ |†レしl,†l ||\\ - ~ ´  ̄ ` ~ \ レ |ノ \\ _,. - 、_, - 、 \ \ヽ|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| || || || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな (天使さんが使ってくれるのなら惜しくないと思ったこの命だけど、 水銀燈と一緒にいるうちに、少しでも長くあってほしいと願うようになったのよ……) 作者:藤原義孝 ふじわらのよしたか (954~974) +捕手はツライよ、孤独だよ 俺の保守の気持ち… 銀様には分かってもらえる筈… 捕手はツライよ、孤独だよ なかまはホームを見てるのに、 ひとり反対向いている だけどホントは分かっている 捕手がいなけりゃ振り逃げさ +心地よく鼻をくすぐった 紅茶の葉の 心地よく鼻をくすぐった 紅茶の葉の 匂いもかすれ果てた 「ローゼンメイデン」の人形を入れた鞄も 今では ただの空の入れ物にすぎない 僕は今 手紙を書いています。 あのむなしかったアリスゲームの最後に 君のような好敵手と戦えたのは- 彼女には 望外の喜びだったに違いない- せめてそう信じたいものだと- それを確かめる相手は 彼女を倒した君しか残らない だから こうして 君への手紙を- 桜田ジュン +夜に生き 夜にこそ映える銀の姫 夜に生き 夜にこそ映える銀の姫 月さえ空に在れば 闇にも浮かぶだろう 誰もが心奪われ 何者も届かないその姿 我が願い叶うなら 夜よ月よ 彼女に非天の加護を与えたまえ +久方の 光のどけき 春の日に(銀様の百人一首』シリーズ) |匸7 . . . . . . /_7 . / r┘/ ヽ、三〔_ /人/ . . . . . .ハ7 . . . . .〈 ′ 、 ヽ三フ \V{ . . . . . /ニ7. . . . . _ ノ, l | 、ヽ ヽ ∨ 〉 └う . . . .{三{ . . . . . ヽ l | lト、\ヽ ヽ` 、`、Vニヽ、 / { . . . . .|三| . . . .r‐ ∥ l | ,丶 l 川 l | l | ! ヽ\ 久方の 光のどけき 春の日に // ∧ . . . .l三l . . . ヽ |ヽ」斗-ヘ }ノ,エZ{ノ/リヘ\ \ヽ . | l / ヽ、 . Vニヽ . r个ト,ィfl圷 ` 化ノケハ `ヽ>└′ しづこころなく 花の散るらむ l|, 「ヽ{lHlリ { 小 ` ゞ ′ 八ヽ\ |V , l| | ` <7/ | lヽ、 , .′, 仆 ヽ \ヽ `7 / ,イ | l├ヘヽ―ヘ、__,. ⌒ヽ `、`、 ヽ\ / / || | | ./ヽ\ . rヘ . . . . \ヽ \ \ヽ , ′ / /|| /ヽ\ . . .) ){廴r-、__ . rく \ ヽノ / / / /ハ !/ . . ._ _;>=≠-‐、 .f‐ミ ヽV \ } 〉 / . / / / rヘヽ . . . ヽ二ニ==、 } 「`{ ,ゝ、_V_/∠_ . . (日の光がのどかにさしているこの薔薇園は、春の日のようにうららかなのに、 . . 落ち着いた心もなく散る桜の花のように、姉妹達が次々と斃れていく…… ) 作者:紀友則 きのとものり (生没年不明) +哀れとも(銀様の百人一首』シリーズ) _,. -―‐¬ス仁ニ、 ,. ´ _,.-‐ ´ トヽ.`戈―-- 、 / ヽ ヽ」  ̄`ヽ `ヽ、 / , l 、 l l ヽ `、 〉 . / / l l | l| ヽ ヽ ヽ / |l ハ | l | | l |l |ト、 \ \ ,.イ |l | l |l Nレ匕lヽ l| レヘ、ヽ ヽ /ヽ | 哀れとも いふべき人は おもほえで lN XヾV佖イ}LV | l廴} \/ヽ、 | / リヾ メ、 ̄l r ´ヾ、 〈 \ \ ヽ、 身のいたづらに なりぬべきかな / ′ ヽ\_入`―ーr――个-- 、 └―‐- 、 / 冫く ,.ィヘ、< / \ \ヽ \_> . // /! `‐匕冖- `二ニ -‐冖-..、} ヽ/ヽ / / / { l r=〉 `く」_ \ / / ハ ヾニ=扱从} _ r―冖‐ミ、 ヽ . 〈 / / \{>斤 ′ r―‐ ´ r‐ヘ\ \ \ l l 7んヘ _ _ r‐ ´ 人 ヽ ヽ l| | { `^´ `丶、 _ r ′ l l l / ヽ`、 ! . . . . . . . . . l . . . ./Kヽ l | | / ヽヽ ヽ . . . . . . . . . . . | . . . |/|ヽ」 | l | (不憫だと言ってくれる人なんて思い浮かばない…… 私は戦い、むなしく壊れていくだけ……なのでしょうか でも、お父様がそうしろとおっしゃるのなら……) 作者:謙徳公 けんとくこう (924~972) +Yo yo yo. イカスあの娘は水銀燈 Yo yo yo. イカスあの娘は水銀燈 意外に素顔は食いしん坊 今日も残さず栗金団 OKベイビー check it out... by ミーディアムネーム:M.C.万歳 +私という存在は世界でたった一人 私という存在は世界でたった一人 あなたという存在も世界に一人しかいない 世の中は不思議 こうして出会いお互いの存在を疎ましく思いながら同じモノを目指している 私たちは時を駆ける阿修羅かもしれない 仲良くしようにも不可能な間柄なのだ だけど出会えて本当に良かったと思う あなたがいたから私は私でいられたのだ あなたがいたから あなたがいたから +君がため(銀様の百人一首』シリーズ) / , ′ L入 . . __ , ′, , , / ; | l i l > ´ィ . // ′/ / ,′ / ,イ ,′ l ,′/ / 川ト、 ヽ /, ,′.′.′/, / / l ′ // \ く //!h ヽ l ′i l i l | / ,イ / / /,′ ,′ヽ∨/ !| lヽ 八 l | | ハ{ / / ノ/_/__/_ / 7′l ||! | ヽト、 、 ト二ヽ /レ  ̄二ニ∠」_ノ / ,′ / ! ハ 、 ` `7ヽ弋なY ^ぃf{ノ} 彳 / / / / / ! 君がため 春の野に出でて 若菜つむ , ノ ハ ゞ ,  ̄´ / イ ,′ / l /{ { ′ゝ 〈 _彡 / // └く!| わが衣手に 雪は降りつつ 、 /ハ ヽ、 \ _ __ ー― ´7 // i | ヾミ≧x \/ /ンーヘ、` ニ` ′// l ハ / `ヾミニ∨ ` 、 _ -‐ _ _ イ/ l ! , ー==≠二7,′ /\ レ 了」斤く ノ/ l ,′/ ノ三 _ 二.. . . ..;′ /ミ///7| l ヽ\ . . j / ` ̄ _. . . /ヽ{ く/ / //! | l | . / , (あなたのため、春の平和を謳歌しているような妹たちから、ローザミスティカを奪ってみせる、 それは、手に雪が積もっていくように、冷たくて、孤独でさみしい……ことなのでしょうけれど……) 作者:光孝天皇(830~887) +瀬を早み(銀様の百人一首』シリーズ) l‐ ´ _______` ‐ i _, -‐ ´ ` ー -、 { _,. -――‐ -- 、_ , -―‐=ニ二_ ー-、 ヽ, イ |l l ヽ. ,r ¨  ̄ ̄`¬‐-、丶 \ l| l /__ト、 ヽ-―ヽ/ , i \ヽ ヽ ll l/lィ心 ヽィt ハ/ // , / /| i | l l \ト、lゞ 、 ゞ=| l l -_、__////! l l l l | ト、 ‐. , lハ Tィjャ /´‐/-..! ! l| ! ヽ lト、 l >t イ l lヽ| ゞ″ ィjャ、メ / //t‐-ゝ 瀬を早み 岩にせかるる 滝川の rイヽ j,_/ l/ハ i- 、 ゞツイ__/ / ゙ | { l} / ̄{」 ̄ヽ ヽ l_ ノ _,.ィ /i l われても末に 逢はむとぞ思ふ /f」} ヽ./jil\ノ r i」 ̄ l /_r冖t-、l .l l f」} /{」i」| r i」 /  ̄ゝ」 l i .l /j f」} / {」i」| r i」 // /ゝ!l ヽ .i ./ ヒャt ュt ュt 」iLt ュt ュオi」/´_ |ゝハ ヽ .ヽ く / |く>| l /´ ̄ /. ゝハ. ヽ .. ヽ〈-、___」く>l __tォ¬、 /l トチ . ヽ l「´ 7Tオー<´ l \/ /l/. i ..丶 /l ヽ ! | 」 | | \--― ´ /| / ... / トィ 」 」 / ヽ ヽ___/ 〉. ..\ ... (滝川が岩にぶつかって流れが二つに分けられても、いずれはまた一つに合流するように、 たとえ今、運命という岩によって二人が引き離されたとしても、また一緒になれるですよ、双子なのですから……) 作者:崇徳院(1119~1164) +世の中に 世の中に あかほどうるさき ものはなし じゃんく、じゃんくと 夜も寝られず (ただでさえ翼が傷ついて鞄でゆっくり眠ることもできないのに、 真紅に面罵された言葉が、頭にこびりついて・・・) +母の日に、母のない子はなにを想う 母の日に、母のない子はなにを想う 父の日に、父に会えない子は何にすがる 私は一人で生きてゆく 否、一人で死んでゆく 十字架に祈りをささげて慈悲を乞い 命を存えさせても憐れなだけ 十字架を逆にして神に頼らず 自らの意思で命を燃やし尽くしたい 人はそれを神への冒涜と呼ぶ 両親にもらった命を尊び 自分の幸せを求めなさいともいう 命を大切に出来ないのは 私がまだ大人ではないから? そうかもしれない 否、そうじゃない 私は生まれたときから壊れていた子 どんな綺麗な言葉で飾っても、先にあるのは暗闇だけ 私は絶望するために生まれてきた子 逆の十字が刻まれた命には、祝福なんてありはしない だから、命はいらないの 私は一人で死んでゆく 死ぬまで一人で生きてゆく でも、本当は何かにすがりがたい・・・ +世界は深い眠りについている 世界は深い眠りについている 折りたためない翼が背中をひきちぎる 私は夢から連れ戻されて 夜明け前の濃い闇に目をやる ローザミスティカを奪われて 闇と同化した蒼星石がたたずみ 何も語らない目でこちらを見る そこには悲しみも憎しみも、何も湛えていない 虚無、虚無、虚無 あなたがこうして夢枕に立っているのは、 私に対して強い念があるから…… 本当は私のことが憎いのでしょう? それは当然ね……蒼星石 ぼくが君に対して強い念を持っている? そうではないよ、君がぼくに念を持っているんだ ぼくはアストラルではなく、実体をもったドール 君の残留思念がなければぼくは存在できない それがローザミスティカを得ることの代償なのかしら? 君が手にした結果を見れば、そういうことになる でも違う ぼくの存在はローザミスティカとは関係ない 君がローザミスティカを得たから、このぼくの姿が見えているわけではない ぼくは純粋に君の思念の産物にすぎないんだよ、水銀燈 私はそっと視線を外す 幽体と思念体?そこにはどんな違いがあるというの…… 空洞となった蒼星石の両目には確かに感情が伺えない (目が空洞?……) 何かに思い当たり、もう一度その空洞を確認するために顔を上げる 蒼星石はそこにはいない 白い光がうっすらと窓から差し込み さきほどまでの支配的な闇は 心の隅に追いやられた記憶のようにひっそりとしている 鳥が鳴いているのが聞こえる 夜明け…… 私は蒼星石のローザミスティカを奪った…… アリスになるために +雨、ふり続くね ☆* ・°★ * ・° 雨、ふり続くね 天気予報では明日も雨 でも、もしかしたら・・・ やっぱり今日も雨だ 最近の天気予報は滅多に外れないなぁ~ もう昔みたいに、ドキドキしながら明日を待つことはない・・・ あれ、今日は晴れたよ 天気予報のおじさんは、雨だと言っていたのに もしかして、明日に希望を持ってみてもいいのかな・・・ そろそろこの時代での活動も終わりみたい 結局、誰とも会えなかったなぁ~ 次こそ誰かにネジを巻かれて目が覚めて、その人と契約出来ればいいな・・・ でも、私はジャンク、誰も私なんて欲しがらない・・・ でも、もしかしたら・・・ ゚・* ☆ ゚・ * ★ +雨・・・雨・・・雨・・・ イ // ___ 雨・・・雨・・・雨・・・ ___ ./ //_∠二`__ ハ 下、/ 〃 ´ -=ミーヽ ねえ、真紅 _j_〉、ハ/  ̄`ヽー\ 厂 `ヽ \ソ ─--- 、 \ 雨がジュースだったら、素敵だと思う? . / . . \ハ /__≧ヽ 牛乳だったら素敵だと思う? / . . . . . 〉 ヽ ー‐=土 _` ーヘ ,、 _ `ヽ, . . . . . . . / . . ノ _ ー=二「 / ハ r/ ´/‐z_ . } \ . . / .;イ 二ニ== - , / ̄`ヽ. ´rイ、 厶ィ^T . / \ ミ二ニ==-/7ィz, ノ / ̄\ \/ /厶 ねえ・・・・・ | ∨ ` ー`ー=ニニ/ /.イ/ーく、 , \ ヽ. T´ | | /_/ √ ` ー-、 l ヽ Y l ヽ , / 厶 ┌┘ } 丿 . 〉 ゙! / / /  ̄{ Ⅳ{ / | / ∠イ ,′ l / . ′ , ´ . {__ - ゝ∠ _ ∠ハ _ -‐ < _____ - ´ ゝ .._ 二二 _彡ー┘_」 / 仆、  ̄ ̄ , ニ´ー1 ′ |iヘ.ヽ ( (___// |liハ_〉 フ´イ′ |l l . //, ″ l +日が落ちても温度は下がらぬ 日が落ちても温度は下がらぬ 水銀燈に想いを馳せようと目を瞑るが、 虫の羽音が邪魔をする 真に夏とは散文的だ 人恋しくならない夜 *** 愛しい人のことも、必要な時にしか求めない? それは本当の愛ではないのかな いや、そうではない いつも全力の愛をぶつける必要などはないのだ、 それは多分出来ないことなのだ だから、真夏の夜だけは水銀燈を想うのはやめよう 時には、打ち上げられた花火を楽しむのも善し *** 多分、それが一番長く続く愛 一生を通じて君を愛するために
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かくしん的☆めたまるふぉ~ぜっ!/土間うまる(CV 田中あいみ) (TVA 干物妹!うまるちゃん OP) ぼくのベストフレンドへ/岩崎宏美 (TVA ポケットモンスター ED14) ミュージック/青柳舞 (モバイルアプリ Cytus 収録曲) INVOKE -インヴォーク-/T.M.Revolution (TVA 機動戦士ガンダムSEED OP1) Brave Shine/Aimer (TVA Fate/stay night [Unlimited Blade Works] OP2) 聖少女領域/ALI PROJECT (TVA ローゼンメイデン トロイメント OP) STORM/JAM Project featuring 水木一郎 影山ヒロノブ 吉岡亜衣加さんインタビュー (BGM1 舞風/吉岡亜衣加 (TVA 薄桜鬼 碧血録 OP)) (BGM2 はらり/吉岡亜衣加 (PS2 薄桜鬼 新選組奇譚 OP)) 瑠璃ノ空ヘ/吉岡亜衣加 (PSV 薄桜鬼 真改 風ノ章 OP) MURAMASA/小野正利 (PC18 装甲悪鬼村正 -FullMetalDaemon MURAMASA- 主題歌) 愛のプリズン/監獄男子(神谷浩史,小西克幸,鈴村健一,浪川大輔,興津和幸) (TVA 監獄学園 OP) Follow Me/伊藤君子 (映画 イノセンス 主題歌) いくつもの愛をかさねて/岩崎元是 (TVA 機動戦士Vガンダム 第50話・第51話挿入歌)
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ジュンが見ているのに気付かない真紅と雛苺は鞄からノートを出すと、何やら互いの意見を言い合う。 「この詞は少し幼稚だわ、書き直しなさい」 「うゅぅ~、真紅の歌詞も変なの~、ダージリンとかとかミルクティーとか紅茶ばかり出てくるの~~」 「どこがオカシイの?紅茶の素晴らしさを綴った歌詞だわ、まだ貴女には難しすぎるようね」 「だって水銀燈も真紅の歌詞は変って言ってたの~」 「なんですって、水銀燈がそんな事を言っていたの?」 なんの話をしているんだ?紅茶、菓子、水銀灯、なんだろう? 意味が解らないな…まぁ、とにかくいつまでも隠れている訳にはいかないよな… リボンの子、雛苺って言うのか、あの子に聞きたいこともあるし 屈めていた体を伸ばし、立ち上がると、少し躊躇しながら2人に声をかけた。 誰もいないと思っていた真紅と雛苺は突然の声に驚き、肩をビクッと震わせた。 「こんにちは…」 「誰? 貴方は誰?」 「びっくしたのォォ~~」 「僕は桜田ジュン、今年入学した1年生です」 「そう、で、貴方はこんなところで何をしていたの?」 眉をキュッと吊り上げ気味にした真紅はジュンを睨みながら言う。 そんな視線を受けたジュンは少したじろぐが、すぐに愛想笑いを浮かべた。 「すみません、僕もサボッていたら、いきなりドアが開いたから先生かと思って隠れたんだ」 「そうなの、でもね、私と雛苺はサボッている訳じゃないわ、授業に出ずに休憩しているだけだわッ!」 「そうなの、そうなの~ヒナと真紅は休憩しているだけなのぉ~」 休憩か、物は言い様だな、でもそれがサボリだと思うけどな…… 真紅のセリフに頭をポリポリと掻いて苦笑いを浮かべる。 そんなジュンに向かって真紅は人差し指をクイックイッと動かす。 「ちょうど良いわ、そこの貴方、桜田…?」 「ジュン、僕の名前は桜田ジュン」 「そう、じゃ、ジュン、ちょっといらっしゃい」 なんて高飛車な態度なんだ、僕を召使か何かのように思っているぞ そう思いながらも真紅と雛苺の前まで近付く。 視線は真紅の顔を捉えつつも意識としては雛苺の顔を観察してみる。 うん、そうだ、この子だよ、間違いない、神社で会ったのはこの子だ。 名前は雛苺って言ったよな?翠星石とはどんな関係があったんだろう? 雛苺と関係があったとしたら、この真紅とか言う子とも関係があるのかな? 目線を左右に動かし真紅と雛苺に顔を交互に見る。 2人とも制服の胸に2年生を現すⅡマークが無ければジュンと同じか、もしくはもっと幼く感じられるほどの童顔である。 そんな2人の容姿にいつの間にか先輩に対する言葉遣いではなくなっていた。 「ジュン、今から貴方に率直な意見を求めるわ」 「意見?…何の?」 「いいから黙って聞きなさいッ 私の詞を見てどう思ったか言いなさい」 「詩、ポエムか?」 「違うの~歌詞なのよ~」 真紅はジュンの前にノートを広げた。 何の変哲もない普通のノート、そこに数行ほどの歌詞が書かれている。 「ダージリン」 作詞・真紅 ファーストフラッシュ 深みのある味わい みんなで楽しみましょう セカンドフラッシュはマスカットフレーバー ストレートが最高よ オータムナルは茶葉に厚みと苦味 ミルクティーで一息入れましょう Ah ダージリン ゴールデンチップは爽やかな味わい 赤みの薄いオレンジ色のダージリン 抽出時間は長めに 収穫シーズンは5~6月が最適よ なんだよ、これ?これって歌詞なのか?紅茶の説明じゃないのか? この詞にどんなメロディーがつくんだよ? つーか、この詞を読んで意見って言われてもなぁ~~どうしよう? ノートから視線を真紅の顔に移すと、自信満々な表情が見て取れる。 そんな真紅にどうコメントしていいのか解らないジュンは作り笑いを浮かべてつまり気味に言葉を選ぶ。 「う、うん…なかなか……ユニークで、こ、紅茶の素晴らしさが解る詞だと思うけど………」 「そう、ジュンって言ったわね、貴方はなかなかロックが解っているようだわ」 こ、これってロックの歌詞だったのか…… 困惑するジュンなど目に入らないのか、真紅は雛苺に勝ち誇った顔を向けている。 こんなロックの歌詞なんて見たことがないぞ、ん?でも歌詞を書いているってことは真紅や雛苺ってバンドとかしているのか?もしかして…… 入学当初の日に行った軽音楽部、そこで出会った銀髪の女性と翠星石の行動、そして、有栖神社で見た雛苺、そんな接点が目まぐるしく頭の中で回転する。 「ロックの歌詞って、2人ともバンドとかしているのか?」 「そうなの~ヒナと真紅はロックバンドのヴォーカルなの~」 「雛苺の言うとおり私たちはローゼンメイデンというバンドをしているわ、普段は軽音楽部で練習ばかりだけれど」 軽音楽部?いま軽音楽部って言ったよな? 真紅の言葉に少し興奮気味になったジュンは軽音楽部の部室で会った女性の事と入部したい事を告げるが、帰ってきたセリフは2人の深いため息交じりの言葉だった。 「ジュンが会ったのは水銀燈よ、私たちと同じローゼンメイデンのメンバーでギターを担当しているわ…それにジュンはドラムがやりたいのね?」 「ふゅ~、ドラムは…ちょっと難しいのよ~~」 「水銀燈って子も僕がドラムを触ろうとしたら凄く怒ったけど、何かあったのか?」 ジュンの質問に真紅と雛苺は黙り込んでしまった。 先ほどまでの雰囲気とは打って変わって重い空気が3人の周りを漂い始めた時、不意に授業終わりのチャイムが視聴覚室に鳴り響く。 その音を合図に真紅と雛苺はサッとイスから立ち上がる。 そして教室を出て行く際に、いったん立ち止まると、顔を向けずに言う。 「いま軽音楽部はあまり活動していないわ、ジュンがどうしてもって言うのなら土曜日に来なさい…土曜日ならみんな部室で練習しているから……」 そう小さく呟くように言った真紅と雛苺は教室を出て行くと、休み時間で廊下に出てきた他の生徒の中に紛れ、消えていった。 何だろうな? ドラムの事を言い出したら真紅も雛苺も、あの水銀燈とかいう子も態度が明らかに変わったな… 少なくともロックバンド、ドラム繋がりで翠星石となんらかの関係はあるはずだよな…まさか翠星石は軽音楽部のローゼンメイデンのメンバーだったのか?でも学校の生徒で死んだって聞いたことないし…… 昼休み、屋上で寝そべるジュンは何かが繋がり始めた手がかりを懸命に考えている。 「ヒィ~ッヒッヒッ~、待ちやがれですぅ~~ッ」 そんなジュンをよそに翠星石は楽しそうに宙を舞いながら小鳥を追いかけて遊んでいる。 クソ~ッ、いい気なもんだな~、人がせっかく記憶に繋がる何かを考えているって言うのに… あいつを見ていたら成仏させるのがバカらしくなってきたよ、それに…ふぅわぁぁ~~っ、眠い…… 幽霊のためなのか、翠星石は夜になれば異常にテンションが上がる。 そのため、夜明け頃まで騒いでいる翠星石にジュンは極度の寝不足になっていた。 ふぅわぁぁ~~、あくびが止まらないよ、ちょっとだけなら寝ても大丈夫だよなッ、チャイムが鳴ったら…解るし……zzzzz ――――――星石ッ!! しっかりしてよ、翠星石ぃぃぃ~~ッ!! えっ?なんだ、誰か僕を呼んだか?あれ?違うな…誰だ、あの子…… ん?えぇッ…うっ、うわァァァァァ~~、ち、血だらけじゃないか、どうしたんだよ、何があったんだよ、いったい僕はどうしたんだよ? 急ブレーキの痕が残るアスファルト、その横に血塗れになって横たわる人物と、その壊れた人形のような遺体を抱きしめながら狂ったように大声を出して泣き叫ぶ人物がいる。 ど、どうなってるんだよ、確か横断歩道を渡ろうとして……ま、まさか僕は事故にあったのか?あの死体は僕なのか…うっ、うわぁぁぁぁ~ッ!! 「うわッ……はぁ、はぁ、はぁ」 「ジュン、ジュン、大丈夫ですかぁ~ッ」 いつの間にか眠りこけていたジュンは目をカッと見開きながら飛び起き、大きく肩で息をすると、額に滲み出た汗を拭う。 「どうしたのですぅ~、うなされてたですよぉ~」 ジュンの肩には心配そうな顔をした翠星石の手がある。 ただし昼間の翠星石は実現化できないため肩に置いた手は体の中に入っているように見えた。 「あれ?僕は……ゆ、夢だったのか」 先ほど見た光景が夢だと解ったジュンは大きくふぅ~っと深呼吸する。 そして目の前にある翠星石の顔を、髪型を改めて見直す。 ま、まさか、今見た夢って翠星石のことなんじゃないのか? 顔はよく見えなかったけど、確かに髪型は翠星石の髪型だったよ、それに髪の色も、体型も、そうだよ、間違いないッ!! でも、どうして翠星石の夢を見れたんだよ? マジマジと顔を見られている翠星石の頬はだんだんと赤みを差してくる。 そしてプイッと横を向きながらジュンの肩から手を抜く。 「あっ…まさか……」 ジュンは自分の体の中に溶け込むように入っていた翠星石の手を見てハッと気付く。 「なぁ、翠星石、寝ている時に僕の体に触っただろ?」 「なっ、な、な何を言うですかぁ、お前の体なんか触ってねぇですぅ~、変な事を言うなですぅ~ッ!!」 「本当か?」 「…う~、触ったと言うよりもぉ、チャイムが鳴っても起きないお前を起こそうとしただけですぅ~、それに触ろうにも昼間の翠星石は無理なのですぅ~通り抜けて触れねぇですよぉ~」 「でも触ったんだよな?」 「だぁ~から、触ろうにも翠星石の手はジュンの体を通り抜けたですぅぅ」 やっぱりそうか、翠星石の体の一部が僕の中に入ってきたから、それが原因であんな夢を見たのか… じゃ、夢の中で翠星石を抱きしめて泣いていた人って誰だ? 後ろからしか見てないから解らないな、真紅でもないし、雛苺でもない、水銀燈って子でもなかったな…誰なんだよ? 「ん?おい、翠星石、所でいま何時ごろだ?」 夢に出てきた人物を考えていたジュンはふと空の色が夕暮れ色に近いのを見て尋ねる。 「もう夕方の5時過ぎですよぉ~、お前はよく眠っていたですぅ~」 「なにぃ~、それは本当かッ?じゃ、僕は昼からの授業を思いっきりサボッていたのかよぉ~?」 「そーなりますねぇ~、って言うが翠星石が起こしてやってるのに起きなかったお前が悪いのですぅ~」 クッソ~、なんてことだよ。そもそも僕が寝ていた原因は真夜中から明け方まで寝ないで騒いでいる翠星石のせいじゃないかッ! そんな独り言をブツブツ言いながら、教師に見つからないように教室に戻り、鞄を手にすると急いで学校から出て行く。 そして後ろから話しかけてくる翠星石の声を無視するかのようにポケットに手を入れて。 あれ?なんだこれ? その手が1枚の紙切れを掴んだ。 ジュンは立ち止まり紙切れを広げて見る。 「あっ~、忘れていたよ」 「何ですぅ~、なにか忘れ物ですかぁ~?」 それは学校に来る前に姉から渡された買い物のメモであった。 ジャガイモとタマネギ、そしてニンジン、レタスとトマトが書いてある。 そのメモの内容からカレーライスとサラダを作ろうとしているのは簡単に想像できた。 「今夜はカレーみたいですねぇ~、翠星石はオムライスがいいですぅ~」 「うるさいな~、お前は食べれないだろ~」 「そんな事は無いですよぉ、お前が口にした物の味は伝わってくるですぅ~、翠星石はニンジンが嫌いですからぁ、ニンジンは食べるなですぅ!!」 「そうか、ニンジンが嫌いか…じゃ、今夜はニンジンを生で食べてやる」 「ひ、酷いですぅ~、呪ってやるですぅ~~うわぁぁ~~ん」 翠星石は泣きながらジュンの家の方角に向かって帰っていった。 それを見ながらヤレヤレと言った表情を浮かべ、ジュンは近所の八百屋に寄ってみる。 「こんにちはオジサン、えぇ~っとジャガイモとタマネギとニンジン、レタス、トマトください」 「おっ、ジュン君、高校生になったんだね、今日はお姉さんのお使いかい?」 「はい、そうです」 近所のため小さい頃から知っている八百屋の主人はジュンがいった品物を袋に入れながら他愛のない日常的な会話をする。 「今日はトマトが2割引だけど、ジュン君なら半額でいいよ、それに今日入荷したばかりの白菜もオマケで付けとくよ」 「はい、アリガトウございます、オジサン……」 えっ?トマトが2割引、白菜が入荷? それって薔薇水晶だったかな、あの神様が言っていた通りじゃないかッ!! 驚きを感じながらも心の中では トマトや白菜が当たったからって別に有難くも何ともないぞ…… と思いながら、美味しそうに見える苺に何気なく手を伸ばす。 そのパックに入った苺を取ろうとした時、横から伸びてきた手がジュンの指先に触れる。 「あっ、ゴメンなさい」 「あっ、いや、こちらこそ」 謝りながら、その手の先にある顔を見たジュンは自分の目を疑った。 それは髪型さえ違えど、顔立ち、表情、背の高さまで翠星石と見間違うほどよく似た女性が立っていたからだ。 す、翠星石…か? いや、そんな訳ないよなッ でも凄く似ているな、まるで双子みたいじゃないか、 えっ、双子、姉妹、まさかこの子と翠星石って…… 蒼星石を目の当たりにし、驚きと共に何やら確信めいた思いがジュンの頭を駆け巡っていく。 そうだよ、きっと翠星石とこの子は姉妹とか、そんな関係だよ、 でもどうしよう? いきなり初対面で「幽霊になった翠星石が僕の家にいます」なんて言って信じてもらえる訳ないし…… 下手に何か言うと危ないヤツって思われるだろうな、くそ~、せめてこの子に霊感とかあったら話は早いんだけどな…… 蒼星石の顔を見つめたまま考えこんでしまう。 そんなジュンに蒼星石は少し怪訝な顔立ちで声をかける。 「どうしたの?」 「えっ、い、いや、何でもないよ」 蒼星石の声に我に返ったジュンは少しだけ視線を外す。 だが、余りにも翠星石に似ている顔から完全に目を外すことなどできない。 そのため、ズラした視線は蒼星石の右肩辺りに向けられている。 その時、蒼星石の肩にギターケースがかけられているのに気付く。 「それはギター?」 突然の質問に蒼星石は戸惑いつつもニコッと笑って小さく肯く。 「ふふ、よくギターと間違われるけど、この中身はベースなんだよ」 「へぇ~、ベース弾いているんですね」 「うん、中学の頃からロックが好きでね、同級生とバンドを組んでいるんだよ、それで僕のパートはベースなんだ」 バンド、この子もバンドを組んでいるのか…あっ、よく見たら同じ高校の制服じゃないか、それも2年生だし、軽音楽部の真紅と雛苺だっけ、あの子達の事も知っているかも? そう思ったジュンは今朝、視聴覚室で真紅の歌詞を見て意見を求められた事を交えながら軽音楽部のことを聞いてみた。 すると、蒼星石は目を細め、口元に柔らかい笑みを作る。 「ふふふ、そうなんだ、君も真紅の詞を見たんだね、ふふふ」 「あぁ、実際あの歌詞の感想を言えっていわれて困ったよ~」 「うん、僕も同じことを聞かれたよ、それで君は軽音楽部に入るつもりなのかい?」 「うん、僕も中学の頃からロックが好きだったし、高校に行ったらバンドとかやりたいな~って思っていたから…でも……」 そう言いながらジュンは視線を落とし気味になり、言葉を濁らせた。 そんな態度に、おそらくジュンは入部を遠まわしに断られたのだろうと思った蒼星石は小さくポツリと呟く。 「ゴメンね…みんな、まだあの事を引きずっているんだ…僕も忘れようと努力しているんだけど……」 あの事? そう言いかけたジュンだが、潤んだ瞳からこぼれ落ちようとする涙を我慢するかのように空を見上げている蒼星石を見ていると、何もいえない。そしてグスンッと鼻をならした蒼星石は先ほど取ろうとした苺のパックを手にする。 「あっ、あの~、ちょっと」 あわてて支払いを済ませようとしたのか、蒼星石がサイフを出した時にポケットから白いハンカチがヒラリと落ちた。 ジュンはそれをひらって声をかけたのだが、蒼星石は唇をギュッと噛み締めたまま足早に去っていった。 (4)へ戻る/長編SS保管庫へ/(6)へ続く
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